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あの日まで、この校舎で学び、汗を流していた一人の生徒が―堂々たる関取として、2月27日(金)に母校に帰ってきました。本校 特進ビジネスコースを令和7年3月1日に卒業した藤天晴関。この日、母校で化粧まわし贈呈式が行われました。

多目的ホールにに姿を現した瞬間、大きな拍手がゆっくりと、そして次第に大きく広がっていきました。その姿は、かつてこの廊下を歩いていた生徒の面影を残しながらも、確かに“土俵で戦う力士”の風格をまとっていました。

藤天晴関の新十両昇進及び化粧まわし贈呈式で、学校長の山崎 隆志校長が温かい祝辞を述べました。山崎校長はまず「おかえりなさい」と迎え、1年前、卒業式を前に「大阪場所で頑張ってきます」と旅立った日の姿を振り返りました。それからわずか1年で関取となり、四股名「藤天聖」として母校に凱旋したことに、深い感慨と誇りを示しました。また、新十両として初めて締める化粧回しを「ぜひ母校からの贈り物にしたい」という本人の強い希望があったことも紹介。座右の銘「頑張れば感動」を入れたいという思いを受け、教職員で寄付を募り、学校法人として贈呈することを決定した経緯が語られました。最後に「これからも頑張ってください」と力強いエールを送り、大阪場所の初日に間に合うよう化粧回しを届けることも約束しました。そして山崎校長はあらためて、「藤天晴、これからも頑張ってくれることと思います。頑張れば感動――その言葉どおりの姿を、これからも土俵で見せてください」と期待を込めて締めくくりました。

今回は化粧まわしの完成が間に合わず、目録のみの贈呈となりました。しかし――そこに込められた想いは、何一つ変わりません。校長先生から手渡された目録を、両手でしっかりと受け取る藤天晴関。その姿に、会場は静まり返りました。母校の願い。支えてきた人たちの誇り。後輩たちの憧れ。すべてを受け止めるかのような、まっすぐな眼差しでした。


紹介された化粧まわしのデザイン。本校の象徴をあしらい、未来への飛躍を願って制作される特別な一枚です。やがて土俵入りで締めるその姿を想像すると、胸が熱くなります。母校を背負って花道を歩く日が、確かに近づいています。


化粧回しの贈呈式で、藤天晴関はまず、母校への強い思いと感謝を語りました。「新十両として最初の土俵は、どうしても母校・樟南高校の化粧回しをつけたい」と希望し、学校側にお願いしたことを明かしました。さらに化粧回しには、藤天晴関が絶対に入れたかったという座右の銘 『頑張れば感動』 の文字が。藤天晴関は「この言葉に似合う相撲を取れるように頑張りたい」と、贈られたばかりの化粧回しを背負う覚悟を示しました。続く新十両昇進の報告では、より具体的な目標と感謝の言葉も。「ちょうど1年前に卒業し、この1年間で新十両として報告に帰ってこれたことが本当に嬉しいです」と喜びを語り、高校時代の先生や先輩、同級生、後輩に支えられたことに感謝。「支えてもらった皆さんに少しずつでも恩返しできるよう頑張っていきたい」と決意を述べました。今場所の目標については、「まずは15日間、怪我なく戦い抜き、新十両優勝を目指す」と力強く宣言。また、母校の大先輩である元大関・若島津さんを超える力士になるという高い志も語り、応援を呼びかけました。贈呈式のステージ上での藤天晴関の言葉からは、プロとしての覚悟と母校への想いが強く伝わってくる瞬間でした。


質疑応答を生徒会の皆さんが盛り上げてくださいました。
生徒会:「お帰りなさい、藤天晴関!まずは新十両昇進おめでとうございます!1年ぶりの母校、どんな気持ちですか?」
藤天晴関:「ありがとうございます!卒業前に“大阪場所で頑張ってくる”と言って旅立ったのですが、こうして関取として母校に報告できるのは本当に嬉しいです。先生方や仲間の支えがあったからこそ、今の自分があります」
生徒会:「今回の化粧回し、母校から贈られたんですよね?」
藤天晴関:「はい。どうしても母校のものにしたくてお願いしました。文字も大事で、自分の座右の銘『頑張れば感動』を入れてもらったんです。書いてくださったのは、小学生から高校までお世話になった相撲クラブの監督の奥様です」
生徒会:「思い入れが強いんですね!」
藤天聖関:「はい、これで土俵に上がるたびに“感謝の気持ち”を思い出せます」
生徒会:「高校相撲とプロ、何が一番違いますか?」
藤天晴関:「やっぱり『体の大きさ』『立ち合いの強さ』『圧力』が全然違います。師匠からも『まだまだ圧力が通用していない。もっと稽古しなさい』と厳しい激励をいただきました」
生徒会:「関取になって生活は変わりましたか?」
藤天晴関:「個性が持てるようになり集中できる環境になりましたが、仲間と過ごす時間が少し減って寂しいです。あとサインを書く機会が増えて、字の練習に必死です(笑)」
生徒会:「樟南高校での一番の思い出は?」
藤天晴関:「3つあります!」
①相撲部で全国大会団体ベスト4
②特進ビジネスコースの仲間との3年間
③部活仲間と遊んだ何気ない日常です
生徒会:「高校時代の秘密は?」
藤天晴関:「後輩を厳しく指導した後、こっそり『言い過ぎたかな…』と反省していました(笑)」
生徒会:「最近ハマっていることは?」
藤天晴関:「花の絵を描くことです。無心で描く時間がリフレッシュになります。休日は友達とディズニーやカラオケに行ったり、昼まで寝たり(笑)」
生徒会:「今一番食べたいものは?」
藤天晴関:「マスカットです!」
生徒会:「これからの目標は?」
藤天晴関:「まず大阪場所15日間を戦い抜き、新十両優勝を目指します。樟南高校の大先輩、若島津さんを超えられる力士になりたいです。体は小さいけれど『小さくても勝てるんだ』という姿を見せたいです」
生徒会:「後輩たちにメッセージをお願いします」
藤天晴関:「『勝って驕らず、負けて腐らず』を支えにしています。努力は“楽しむこと”が大事。勉強も部活も遊びも、全力で楽しんでください。そして、私たちが叶えられなかった“団体日本一”の夢を託します!」


花束を受け取ったとき、ふと見せた柔らかな笑顔。そこには、あの日の在校生だった頃の面影がありました。どれだけ舞台が大きくなっても、ここは帰ってこられる場所。母校は、いつまでも原点です。

最後は全員で記念撮影。今日のこの一枚は、きっと何年後かに振り返る“原点の写真”になることでしょう。






閉会後にはカメラやマイクがずらりと並び、少し緊張感のある中での取材でしたが、藤天関は落ち着いた様子で丁寧に応対。手振りや笑顔を交えながら、記者たちにしっかりと自分の思いを伝えていました。質問は多岐にわたりましたが、長時間の取材でも表情が変わらず、誠実さと落ち着きが感じられる姿はさすが関取の風格でした。今回の取材を通して、藤天晴関の人柄やプロとしての姿勢を間近で感じることができた、とても充実した一日でした。

あの日の教室から、土俵へ。そして、さらにその先へ。藤天晴関の挑戦は、まだ始まったばかり。けれど―その歩みの中に、確かに母校で過ごした時間が息づいています。これからも、私たちは応援し続けます。
がんばれ、藤天晴関。
母校は、いつもあなたの味方です。